物流の専門家でもないメーカーに物流設計ができるのは、彼らは「物流の当事者」だからです。それを実行しなければサプライチェーンが成立しないからなのです。
そこで、社内では生産技術や生産管理の担当者に「物流を検討せよ」という指示が出ます。担当者は試行錯誤しながら、知恵を絞っていろいろな物流パターンを考えます。
一般的に「物流事業者」といわれる会社では、物流企画というより、物流の実行が仕事だという意識があります。
この考え方の正否はともかく、倉庫にモノを保管する、トラックを使ってモノを運ぶということが仕事であるという考え方です。
荷主会社から「こうしてくれ」といわれたことに対応することが彼らの考え方であるわけです。この考え方に対して、物流事業者は「受け身」の仕事の仕方では今後生き残っていくことは難しいと言います。
しかしながら一つに当事者でないこと、二つ目に社内に人財がいないことを挙げ、半ばあきらめてしまっている感があります。
いずれにしましても、今後求められる「物流事業者」とは、効率的なサプライチェーン全体や、その一部としての物流を設計できる会社であることは間違いありません。
自社で自社のサプライチェーンや物流設計を行える会社は良いのですが、それができない会社はお金を払ってでも誰かに依頼して実行しなければなりません。
ではそれをどこに頼んだらよいのでしょうか。メーカーが社内で蓄積した知識を基に、物流設計請負を行っていくことが考えられます。
一般的な物流事業者でしょうか。彼らがメーカーの中で経験のある人財を引き抜いて実行するという手もありそうです。
意識の高い物流事業者はさかんに人財育成を行っています。まさに物流設計業務ができる人財を育てているのです。
このあたりからニーズに応えられる事業者が出てくることを望みたいものです。
メーカーが物流的な知識がないままに物流設計を行っているということについて考えてみましょう。彼らは物流5機能とは何なのか、という知識すらありません。
でも物流で最も重要な企画業務ができているわけです。ということは、今の物流の基礎知識というより、もっと重要な要素があるものと考えられます。それは何なのでしょうか。
次回に続きます。
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