物流が仕事の仕方を工夫することで、工場での生産統制に寄与できることがお分かりいただけたのではないでしょうか。
これは当たり前のことかもしれませんが、物流が生産工程にモノを届けるときには「必要なモノを必要なだけ」届ける必要があります。
しかし現実的にはサプライヤーから納入された部品等を納入荷姿のまま、生産計画数を下回らないような分を届けています。
物流のサービスレベルの低い工場では、生産工程のラインサイドに納入されたすべての部品等を置いてあるのを見かけます。
しかしまずサービスありき。生産工程に余分な動作が発生しないような届け方をする必要があります。
1台分をキット化して届けることが理想ですが、生産統制だけを行う場合はもっと容易なやり方があります。
前回の例でいけば、部品AからFの内、1部品だけを80台分取り出して届けるというやり方です。たとえば、Eは「60個」入りですが60個入り1箱と20個の端数を届けるという方法です。
やや手抜きのやり方ではありますが、これでも生産統制は可能です。なぜなら製品は部品が1つでも欠けていれば組み立てられないからです。
物流工数が十分でない工場ではこのようなやり方でも問題ありません。しかし徐々にレベルを上げていくことが必要であることは言うまでもありません。
では別のやり方はないでしょうか。実はもっと簡単な方法があるのです。それは完成品を入れる容器でコントロールするという方法です。
仮に完成品容器が20台入りだったとしましょう。今回の事例では生産計画は80台です。ということは必要容器数は4個です。
つまり物流は完成品を入れる容器を「4個だけ」届ければよいのです。仮に生産工程が90台生産できる余力を持っていたとしても、容器が80台分しかありませんのでここで生産統制がかかるということです。
いずれのやり方を採用するにせよ、届けるタイミングは生産計画上の生産着手の直前であることには注意が必要です。あまり早く着手しすぎても一時的な在庫となるだけですから。
いかがでしょうか。物流は「モノと情報を運ぶ」ことが目的ではなく、それを手段として生産統制を行うことが役割だと考えましょう。
このような物流を付加価値物流と呼びます。言われたことを行うだけの物流から、自ら生産統制を行っていく高機能物流へと変化していきたいものです。
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