物流購買側のことをユーザーと呼びます。物流用語では荷主と呼ばれる存在のことを指しますが、もう少し広い範囲をユーザーと呼ぶことにします。
物流サプライヤーと直接接する部署として「購買部門」が挙げられます。購買部門の主な役割は物流サプライヤーの選定と価格の設定です。
ユーザーの中には別部門もあります。それは実際に物流を管理する部門です。この部門は「物流部」とか「生産管理部」が該当することが多いようです。
これらの部門は原則として物流設計を行います。輸送であればどこからどこまで、どのような輸送モード(トラック、船舶、鉄道など)を使って運ぶのかを決定します。
さらに実際に物流サプライヤーを使う立場の部門があります。たとえば「製造部」は生産した製品を出荷しますが、その際に運送事業者に輸送を発注します。まさに物流の現場です。
このように役割が明確に分かれている会社ばかりとは限りません。は直接発注部署が購買行為を行っているパターンがよく見られます。
ではユーザーの部門別に役割を明確化した方がよいのでしょうか。その場合、どのような役割分担が望ましいでしょうか。
まず検討すべきことは、物流サプライヤーの「選定、価格決定」と「日々の発注」を行う部門を分けることが望ましいでしょう。
それは何故でしょうか。その理由はコンプライアンスです。自社は大丈夫という話を皆さんされるのですが、実際にはちょっとグレーな部分が存在する可能性があるのです。
日々の発注者は物流事業者と日々発注のタイミングで接点があります。そうなると当然仲良くなるわけです。ちょっと無理なお願いも聞いてくれているかもしれません。
これはコミュニケーションがよく取れているという点ではよいのですが、実際にはお互いなれ合いになってしまう危険性もはらんでいます。
そこで、何かあった時に助けてもらう代わりに、価格で手心を加えることが発生しやすくなります。そこで、先に掲げた2つの役割は部門を分けた方がよいと考えられるのです。
現場のことを理解せずにサプライヤーを決めている、などと陰口をたたかれないようにするためにも、「選定、価格決定」部門はしっかりと物流を学ぶ必要はあります。
一方現場サイドはやましいことが無ければ、この役割分担には反対しないと思います。もし反対するのであれば、その理由をよく聞いてみましょう。
次回に続きます。
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