当初定めた目標を達成できるのであれば、管理にかける工数はできるだけ減らしたいものです。特に物流標準時間管理ではこの点に注意が必要です。
物流標準時間は最初はプロジェクトを組み、人を集めて、定められた期間で設定を行います。多くの会社でこのフェーズは注目度も高く、参加メンバーはモチベーションを保って職務を遂行します。
一方で日常管理のフェーズに移行すると少し様相が変わってきます。プロジェクト解散に伴い、参加していたメンバーが職場に戻り、日常管理を行う人も少なくなります。
そこにきて、メンテナンス業務が膨大になったとたんに管理が追いつかなくなります。結果的に物流標準時間の運用を廃止するという最悪の結果になることも考えられます。
物流標準時間導入成功のポイントとして、「日常運用時の業務」を十分に考慮の上設定を開始することをお勧めします。
この先々の運用について明確な絵が描けていない段階における見込スタートは避けるべきです。せっかく設定したものが使われずに終わってしまう可能性があるからです。
日常運用時の業務における最重要課題は「日常メンテナンスの容易化」です。この容易化の要素には2つあります。
1つ目は「メンテナンス頻度」です。物流作業は自由度が高いため、1mでも近づければ改善となり、それは比較的容易に実現できます。
このような小改善は日々複数発生するかもしれません。現場からはせっかく改善したのだから、当月中に標準時間を改定し、来月からそれを運用したいと要望されるかもしれません。
しかしこれは現実的ではありません。メンテナンス頻度は年に1回か2回、まとめて行うことが現実的です。
もう1つは「メンテナンス程度」です。特に距離の改定の場合、10m以上の変動があれば改定する、といったような「程度のルール」を作っておくとよいと思います。
これは必ずしも管理のレベルを下げているわけではありません。物流標準時間を長続きさせるための方策なのです。
もう1つ、物流標準時間導入成功のポイントとして、メーカーの場合は時間原単位を製造工程と合わせることを挙げておきましょう。
「ものの取り置き」など、製造工程でも物流工程でも同じような作業があります。これについては工程間で差をつけることは意味がありませんので、時間原単位は必ず合わせることにしましょう。
以上の成功ポイントを十分考慮し、物流現場の標準時間を設定していくことにしましょう。
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