物流にはすべての活動の結果が表れる傾向があります、というお話を前回させていただきました。たとえば大ロット生産を実施すればそこにすぐに使われない「在庫」が発生します。
そうなるとその在庫を保管するスペースが必要になり、製品を入れておく容器が必要になり、その在庫を横持ちする工数と機器が必要となり、在庫そのものの管理が必要になります。
営業マンが顧客を獲得したいために必要以上の納入回数を約束してしまうと、その結果として積載率の低いトラックが多数必要になります。
購買担当者が資材をまとめて発注することで単価低減を行ったとします。するとその資材の不要在庫が構内に置かれることになります。その結果として先ほど挙げた「大ロット生産」と同様の現象が発生することになります。
大ロット生産を行った部署はその結果として生産性が向上し、良かったと思うことでしょう。営業マンは顧客から喜ばれ、良いサービスを提供できたと満足することでしょう。購買担当者は資材単価を落とすことで会社に貢献できたと考えるものと思います。
たしかにこの「メリットのみ」に目を向ければ会社に貢献できたという満足感がクローズアップされます。
しかしその裏には物流における非効率が発生しているのです。では物流の非効率が発生しているにもかかわらず、メリットがクローズアップされるのはなぜでしょうか。
それはその非効率を被るのは物流部門だからです。生産部門にしろ、営業部門にしろ、購買部門にしろ、その非効率を感じることはありません。それ故彼らはお構いなしに自らの道を進んでいくのです。
でもここで少し考えていただきたいのです。これらの非効率を被ってまでも先に挙げた事例を行う必要があるのか、ということについてです。
まず物流部門は物流に表れた現象の要因について関係部門に発信する責任があります。生産ロットや調達ロットの大きさが物流にどのような影響を与えているのか、必要以上の納入回数がどれくらいの輸送コストアップにつながっているのか、この点について関係部門に発信することです。
次回に続きます。
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