最近人材不足の波が産業全体を飲み込もうとしています。特に人気のない業種はこの時期大変です。物流業はその典型といえるかもしれません。
常に有効求人倍率が2倍を超えている自動車運転者という職種は、人不足でサプライチェーンに与える影響は少なくありません。
この状況を放置しておけばいずれ日本の経済にも影響を与えかねません。国としても徐々に手を打ち始めました。
標準貨物自動車運送約款を改定し、運送業者が顧客から料金を取りやすい環境を整えつつあるのです。今まで一本で表記されていた「運賃」を、運送の対価である「運賃」とそれ以外の役務の提供の対価である「料金」に分けることにしました。
運送会社は荷主に対して積み込み料や荷降ろし料を「料金」として明記することになったのです。
さらに顧客の構内で待機させられた場合、その待機が顧客の要因である場合、「待機料」として明記し、それを収受できる環境を整えました。
この約款の変更は、働き方改革に起因します。トラックドライバーの労働時間は他の職種に比べて長く、これが事故にもつながっていると考えられます。
労働時間が長い割に給与は安いため、なかなか人が集まりにくい構造になっています。これを変えていかない限り、本当にサプライチェーンの寸断はあり得るのです。
物流事業者としても顧客としてもこの状況は何としても避けなければなりません。
そこで物流会社は顧客と連携してこの危機を乗り切らなければなりません。その一環として何としても人材を確保する必要があります。
一方で人材を確保するためには原資が必要になります。やはり今のような給与の状態でドライバーを集めることは困難です。
かといって会社の経営状況から給与を上げることになるとコストアップとなり、利益を圧迫してしまうことになります。
この状況下、どうしても必要になってくるのが顧客との交渉です。今の価格を上げることで、人件費コスト上昇の一部を顧客に負担してもらうのです。
物流会社には武器があります。それが運送約款の変更です。これをきっかけに顧客に交渉に行くのです。今がチャンスなのです。
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