荷主と物流事業者、工場の製造工程と物流部門などそれぞれの間でどのような物流サービスを実施するのかをきちんと決めていますでしょうか。
これがしっかりとしていないと後になって何かと問題が発生してしまいます。会社間ではサービスレベルアグリーメント(SLA)を、工場内では標準作業書を作成する必要があります。
まずSLAについて考えてみましょう。これは契約ですから業務開始前に決定し、両社で合意のサインをすることが求められます。
荷主と物流事業者の間ではしっかりとした契約が結ばれていないケースが多く、強い立場の方が有利となる事象が発生しやすいのです。
たまに耳にするのですが、「ついでだから○○もやって欲しい」と荷主から要請されるケースがあるようです。これに対して物流事業者側もあまり追加工数も発生しないことだし引き受けても問題ないだろうという対応をしてしまうことがあります。
ところがこの小さな追加業務の積み重ねが結果として大きな負担になることが考えられます。いくつもの荷主からちょっとずつ追加業務が来た結果、一人区増えてしまったというようなことが発生するのです。
この追加業務に追加金額を徴収していなければ会社の利益を圧迫することは目に見えています。在庫数量のFAXを一枚送付するという業務だけでも本来なら価格を設定し、荷主から徴収しなければならないことは当然のことでしょう。
しかし遠慮があるのか、荷主からこれくらいサービスでやって欲しいと言われたのか、あるいは単に面倒くさいのか、追加業務について見積もりを出さないことがあります。
海外では契約社会ですからこのようなことはあり得ないことでしょうが、このあたりが曖昧なのが日本社会なのかもしれません。
新規に契約する場合には請け負う業務の内容を、追加業務があった時にはその業務についてSLAに列記しましょう。そしてそれ以外の業務が発生した場合には「別途見積もる」という一言を加えておくのです。
業務は追加だけではなくやり方が変更になることもあるでしょう。その際もSLAの記載を変更します。これは条件変更に伴う契約の変更ということになります。
フェアなやり方は条件変更でコストが上がれば価格を上げ、コストが下がれば価格を下げるという方法でしょう。
物流でよくある条件変更は物流量の変更です。契約当初の条件よりも物流量が増えれば単位コストが下がる可能性があり、その場合には価格を下げます。
物流量が当初の条件より減れば単位コストが上がる可能性がありますので、価格を上げることになるでしょう。
もちろん、物流量が何パーセントを超えて増減した場合には価格を変えるということを契約当初合意しておくことが望ましいと思われます。
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