長年仕事を進めているとその仕事のやり方に慣れてしまいます。それが当たり前になります。これはどんな仕事でも同じことではないでしょうか。
そうはいっても仕事に慣れてくるとそのスタイルを変えることには勇気がいります。その仕事の担当者は仕事のやり方を変えることには否定的になります。
慣れたやり方を変えることは非常にエネルギーのいることでもありますから無理もありません。しかし、もし現状を前提で考えていくと仕事の発展性が欠けてしまいます。
物流というと輸送、保管、荷役、包装、流通加工といった5機能の話が出てきます。最近はこれに加えて情報機能がよく話題になります。
このように物流には5機能+1の機能があるという前提で話が進みます。この機能論議を始めると、物流の仕事の範囲が制限される恐れがあるのです。
物流と切っても切れない機能として在庫管理機能があります。在庫はものの購入の結果として、生産の結果として、受注予測の結果として、販売の結果として出現します。
つまりありとあらゆる活動の結果としてあらわれるのが在庫なのですが、物流はその在庫を「現物」として目の当りにすることができる立場にあります。
しかし多くの物流担当者が在庫は「荷主の責任だから」とか「調達部署の仕事だから」とか「営業部署の仕事だから」といって関わることを避けがちです。
これは自分たちの仕事の領域を制限しているからこそ出てくる言葉ではないでしょうか。たしかに自分たちのコアとなる業務は何かといえば「ものを動かす」業務だということは間違いありません。
ただし今やそういった業務を「点」でとらえるのではなく、サプライチェーンといった視点で「線」や「面」でとらえてその範囲で何ができるのかを考えていかなければならないのではないでしょうか。
新聞報道でも「ものづくり」に入り込んだり、荷主会社に「アドバイス」したりする物流会社が出てきていることが伝えられました。
業務の領域を広げ、ビジネスチャンスを拡大していくには当然の考え方なのです。
次回に続きます。
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