「自社に輸送業務を発注して下さい」とか「自社の物流倉庫を使って下さい」というお願い営業は余程特色があるか付加価値が高いかでない限り、「価格競争」になります。なぜならこのような物流商品はどこでも買える「コモディティ」だからです。
お客様(荷主)が真に求めているのは付加価値の高い物流商品なのです。では「コモディティ」ではない物流商品をどのように開発していったらよいのでしょうか。
先日ある物流会社を訪問してきました。この会社は「ワインの配送業務」に特化しています。特に大手ホテルやレストラン向けに輸入高級ワインを届ける業務を実施しているのです。
ワインは一定の温度管理を行うことで品質が保たれます。その基準が摂氏15度なのですが、サプライチェーン全体でそれを保つように設計されています。
見た目では品質の劣化がわかりにくいため、お客様はこの物流会社に物流管理を委託することで品質の担保を図っているとのことでした。
ワインの絵が描かれたこの会社のトラックを店舗に横付けすることが一つのステータスにまでなっているそうです。
ここまでお客様に信頼されれば評判が口コミで伝わります。あえて「お願い営業」をしなくても顧客が広がっていくのです。
物流に限りませんが、このような状態をつくることが理想だと思います。
この会社はレストランでお客様が高品質ワインを楽しまれるといった、「非日常」をつくることを支援しているのです。いわゆる「夢」を提供していると言えるでしょう。
「物流」を売るのではなく、「夢」を売っているのです。素晴らしいことだと思いませんか?これは決して飛躍したことを言っているのではありません。いかに「楽に営業できるか」を言っているのです。
私たちは一般的に「営業は辛いもの」だという発想を持っています。しかし考え方を変え、お客様に喜んでいただけるストーリーを組み立て、その過程で物流業務を行うとしてみてはいかがかと思います。
このような「ストーリー営業」について参考になる本があります。なかなか面白い本ですよ。
『物を売るバカ ~売れない時代の新しい商品の売り方~』
川上 徹也 (著)