サプライヤー支援時には、数値で示して相手を説得できることが成功の秘訣になります。外部から人が来て、とやかく今まで自分たちがやってきたことを変えられることに、少なからず否定的な考え方を持つことが普通でしょう。
単なる発注者とサプライヤーの力関係だけで現状を変えようとしても上手くいくはずがありません。そうではなく、現状を変えればこれだけ良いことがあるという説明が必要です。
自社内でもサプライヤーの現場でも同様ですが、「一か所だけやってみる」というやり方は効果的だと思います。
理屈で言ってもなかなか理解しがたいことは皆さんも経験されていることではないでしょうか。そんな時に「実験」してみることは良いことです。
たとえば台車カンバン方式を一か所だけ導入してみる。それをしばらく運用してみる。その結果として腹に落ちるものがあれば水平展開していくようなやり方でいかがでしょうか。
何か「目に見えるもの」があると人間は気づきを実感します。ちょっとした管理ボードがあるのとないのとでは大違いです。
在庫の適正水準が見える化されていると、現場作業者の意識は格段に高まります。そのために在庫の最小値と最大値を在庫置場に表示します。
その基準があれば、在庫が最大値を超えようとすると、何かしらのアクションを取ろうとするものです。これも複数ある在庫置場のどこか一か所だけやってみればよいのです。
まず自社内でこのような改善を進め、その後でサプライヤー支援を行った方がよいでしょう。なぜなら、自分でやったことがないものを他人にやらせることは説得力に欠けるからです。
さて自社の改善もできる、そしてサプライヤーの支援もできる物流スタッフを育成していくわけですが、その際に5機能+情報機能のスキルに加えて重要なスキルを入れておきましょう。
それが「改善力」です。現状の決められた作業をその通りに行うことは当然ですが、その作業を行う中で改善点を見つけられるようなスキルは重要です。
改善提案制度を導入している会社は多々ありますが、改善力を体系的に向上させていくしくみを入れている会社は多くないかもしれません。
改善点の見つけ方や、現場分析手法の教育など、メーカー物流には必要になってきます。ぜひIE手法も含め、こういった人財育成にも着手していきたいものです。
次回に続きます。
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