物流ベンチマークを行う場合にはまず物流で要しているコストについて比較を実施してみてはいかがでしょうか。
たとえば輸送コスト、荷姿コストなど、機能別にどれくらいかかっているのかの絶対値を把握します。ただしその絶対値を他社と比較してもあまり見えてくるものがないかもしれません。
そこで比率を見てみるということになります。たとえば販売物流であれば販売金額に対する比率を比較してみるのです。
この比較の留意点は同業他社と比較を行うということです。医薬品とお菓子を比較しても何の意味もありません。なぜならば製品単価があまりにも違いすぎるからです。
医薬品なら医薬品業界の他社と、お菓子であればお菓子業界の他社のデータと比較します。その中から必ず何かが見えてくることでしょう。
輸送費の場合、距離を補正すべきか、という疑問がわくかもしれません。しかしこれについて補正は不要ではないかと思います。
遠い顧客に向けて発送すればそれだけ輸送コストはかかります。しかしここで本来生産すべき地域は今が正しいのかという議論につながります。こういった改善に向けての論議を引き起こすきっかけとなるのが加工をしない「生のデータ」なのです。
他社と類似距離でのデータ比較は輸送単価の論議につながります。輸送価格をそのままで比較しなくても、距離を合わせて現状の支払コストを比較すれば見えてくるものがあります。
もしかしたらかなり高い単価で輸送委託しているかもしれません。そうなれば輸送事業者と価格の再交渉を行うか、事業者を変更するかといった活動につながるのです。
自社内であるいは外部業者に委託して物流作業を実施している場合、そのオペレーションを行っている人数比較を行うこともよいと思います。
正社員でなければ労務費単価も小さいため、人数はあまり関係ないと考える方もいらっしゃいますがそれは正しい考え方ではありません。
一つの決められた仕事をどれくらいの工数でこなすのかが企業競争力を左右するからです。工場や倉庫の中の仕事であれば標準時間が決まっていなければならないのですが、必ずしもそれができているとは限りません。
他社と工数比較を行うことで改善の視点は多々見えてくることでしょう。
次回に続きます。
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