トラックドライバーの労働時間を遵守させるためには「待ち時間」を短縮しなければならないでしょう。この待ち時間は物流事業者側でできるものと単独ではできないものがあると思います。特に後者についての方が多いと思われますからこの点について少し考えてみましょう。
トラックが荷主の構内に入ってから出ていくまで4時間かかった、ひどい場合には8時間出られなかったという話を耳にすることがあります。
この「待ち時間」にはさまざまな要因が絡んでいると思われます。その一つに「ものが出てこない」ということが挙げられます。つまり今積み込む荷の生産が間に合わず、生産が終わるまでトラックを待たせるという現象です。
この待ち時間が10分程度ならまあ仕方ないか、と考えられないではありません。しかし1時間以上となるとこれはあまりにも身勝手だと言わざるを得ません。
私たちの生活の中で列車や飛行機が特定の顧客のために発車タイミングをずらしてくれるなどということはあり得ません。
私たちはどこかに出かけるときは移動手段としての列車や飛行機の出発時刻に合わせて行動をします。一方でトラックは安易に待たせるということをなぜ行ってしまうのでしょうか。
「後工程はお客様」という言葉があります。つまり生産工程の後工程は輸送工程であり、そのお客様を待たせているという意識を持つべきです。これもコンプライアンス意識の一つだと言えそうです。
毎回毎回トラックを待たせるような「甘え」は断たなければなりません。トラックは時刻通りに発車し、間に合わなかった荷は特便を仕立てて輸送する方向を考えます。
こうすることで生産ラインに緊張感が発現します。自分たちの追加コスト(特便費用)の発生を抑えるためにライン改善を行って間に合わせようという動機づけにつながると思われます。
待ち時間発生のもう一つの要因として「トラック出発時刻の曖昧さ」があると思われます。「今日の午前中」という決め方をした場合、各社のトラックがまちまちの時刻に発荷主の所に到着します。そうなると当然トラックが集中することも考えられ、早いもの順で積み込みが行われることがあるのです。
このやり方では少しでも後から来たトラックは自社の順番まで待つことになります。そこで荷主と相談して会社ごとの時刻を決めるという解決方法が考えられます。
その決められた時刻に行けば待ち時間ゼロで積み込みができるしかけを作ることです。
「待ち時間」については荷主への申し入れが必要です。黙っていたら解決しません。荷主と話をする勇気も必要です。これがトラックドライバーの労働時間問題解決に向けての第一歩となるのです。
次回に続きます。
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