エンジニアリングとしての物流(6) 荷姿効率をKPIで評価する

製品形状に対する改善要請は常日頃「製品荷姿」を目にしている人が発信すべきだと思います。その立場にいる人とは出荷担当者であり物流会社の担当者であるわけです。

いかにも物流コストがかかると思われる製品については「とりあえず固定観念を捨てて」情報発信すべきでしょう。

そして製品設計の評価にも物流的な観点を入れていくべきです。荷姿効率のよい製品は「物流的視点」では高得点がつくようにするのです。

こういったKPIを取ると面白いというものがあります。それはその製品一台当たりの荷姿容積です。その製品が一万点の部品を組み立ててつくられているのであれば、その一万点の一台分の荷姿容積を積算するのです。

これを同業他社のデータと比較します。ある程度推測になる部分もあると思いますが、どちらが勝っているかについて見てみましょう。もちろん、その総容積が小さいほうが勝ちということになります。

このKPIは設計担当者のKPIであると同時に物流担当者のKPIにもなります。そしてその製品の次期型については現行製品の10%減とするといった目標を持つようにするのです。

さて最近はグローバルで部品を集めて組み立てるということが常識となりつつあります。この場合、グローバル物流コストをできるだけ小さくしたいと考えます。

そのためには部分品をどこで生産し、完成品をどこで組み立てるかといった、生産拠点検討が物流上の大きな課題となります。

場合によっては部分品も完成品も同じ場所でつくる、つまり2か所に投資を行った方が物流費を考慮すると有利だという検討結果が出ることもあるでしょう。

このような検討も物流が担うべきエンジニアリングの一つであると考えられます。物流検討というより、サプライチェーン最適化の検討といった方がふさわしいかもしれません。

いかがでしょうか。物流はエンジニアリングの観点でいろいろなタスクを負っているのです。これに気づいている会社は既に取り組み始め、大きな物流コストダウンに成功しています。

またこのような仕事の仕方をしていくことで物流の地位が向上していくことでしょう。ぜひ守りの物流だけではなく、攻めの物流に取り組んでいっていただきたいと思います。


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