「遅れは許されないが先行は問題ない」という考え方は間違っています。先行生産は一時的な在庫増や置場、容器などの物理的影響と共に、それを管理する工数が必要になるからです。
そうは言っても長年しみついた習慣はなかなか変わるものではありません。生産進捗を生産現場だけに任せておくと、安心のための先行を行ってしまう事も発生します。
ここで物流の出番です。物流は工場の中を走り回り、モノと情報を届けています。この機能を活用して生産統制をすることができないかを考えてみましょう。
生産工程が物理的に先行できない仕組みを考えます。皆さんも考えてみて下さい。生産工程が先行できないようにするために物流ができることとは何かを。
生産工程は4Mをベースにものづくりを行います。その4つのMとは人(Man)、モノ(Material)、設備(Machine)、方法(Method)です。
この内「モノ」に注目します。では生産工程でのモノとは何でしょうか。それは部品や資材です。これらのモノを使って加工や組立を行うのです。
一方で物流はこれらのモノを生産工程に届けることが仕事です。ではどのような届け方をしているでしょうか。
生産計画が80台だとしたら、必要な部品はいくつ届けていますでしょうか。仮に6部品で1製品を組み立てている生産工程を例に考えてみましょう。各部品1個ずつ使う条件です。
部品Aは「90個」、Bは「120個」、Cは「100個」、Dは「120個」、Eは「60個」、Fは「90個」それぞれ容器に入れられてサプライヤーから納入されています。
では皆さんはどのようにしてこれら6部品を工程に届けますか。条件は「先行生産」をさせないことです。
いくつかのパターンが考えられます。多くの人の回答は「80台分」だけ納入容器から取り出して届けるということです。
そうですね、必要分しか届けませんから、このケースでは80台を超えた生産はできません。つまりこの方法で生産統制は可能となるのです。
また、物流サービス水準を向上させ、1台分のキットで届けるという回答もよくあります。AからFの部品を1個ずつ取り出してトレーに載せて届ける方法です。
これはとても望ましいやり方だと思います。物流はサービス業ですから、お客さんの喜ぶサービスを提供することが必要です。
次回に続きます。
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