物流標準時間を導入するに際し、目的を明確にする必要があります。この目的が的外れな場合、長続きしない標準時間が出来上がってしまう可能性がありますので注意が必要です。
まず物流のペースメーカーの役割について確認しておきましょう。今日はどの物流作業をどれくらい、何時何分までに終えなければならないのか、これは物流現場管理の基本です。
このベースになるものが物流標準時間です。物流標準時間×物量が必要工数です。かかる時間がわかるので、ゴール(終わらせたい時刻)から逆算で着手時刻を定めることができます。
この計算を行って仕事を組み立てることで秩序ある物流現場作業が成立するのです。常にペースメーカーが必要です。これは最優先課題になると思います。
次に物流生産性について確認します。物流業は日本では労働生産性が最も低い部類に入ると思います。ですがそのことに気づいていないか、生産性を数値で示せていないか、いずれにしても問題があることは事実。
物流標準時間を使って必要工数を計算するとともに、実際に要した工数を把握します。たとえば必要工数が20時間とし、実際工数が24時間だったとしましょう。
そうすると、ここに4時間のギャップが発生し、20%余分に時間がかかったことが明確になります。これで生産性を数値化したことになりますよね。
各職場でこのギャップがどれくらいあったのかを把握できるのは物流標準時間があってこそです。もちろん、ギャップが小さい職場ほど生産性が高いということがわかります。
そして正しい所要人員の算出も物流標準時間があればできる話です。
つまり物流標準時間は多方面での活用ができるすぐれた管理ツールであると言えるのです。
物流は昔から数字で語ることが苦手です。そのために誤解されることがあったり、低く見られることがあったりしています。
自分たちの仕事を評価して欲しい、もっと気にかけて欲しいと考えるのであれば、今回お話した標準作業の設定と標準時間の設定は必須項目です。
あまり難しく考えずに、今の仕事を標準化してみましょう。そしてその仕事に標準時間を付けてみましょう。
これを行うことで今まで見えていなかった風景が見えてくること確実です。物流もカンコツ度胸のKKDからはいい加減脱却すべき時期に来ています。
これからの物流は科学的に実施していくべきなのです。
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