物流の実力値を把握するとともにそこで使うKPIは他社との比較ができるようなものにしておくとよろしいのではないでしょうか。
自社だけで実力値を評価することは当然必要なのですが、私たちは経済全体の中で競争をしています。従いまして自社の立ち位置というものが気になる点でありかつ認識しておかなければならない点でもあるのです。
その意味であまり細かいものやマニアックな指標は避けた方がよいかもしれません。単純な指標は「扱った商品の価値」に対する「物流コスト」というものが考えられます。
例えば100万円の価値がある商品を入庫し、出庫し、梱包し出荷したとします。その工程で2万円相当の物流コストがかかったとすればその比率は2%だということになります。
ただしここで一点注意が必要なことがあります。それは扱い商品の種類によってこの比率にはばらつきが出るということです。
たとえば高額な化粧品を1㎥出荷した場合と安価なティッシュペーパーを1㎥出荷した場合を考えてみましょう。
前者は10万円を超えることはざらにあるでしょう。一方で後者は何千円のレベルです。しかしこれらの商品を取り扱う場合の物流コストには大きな差は出ないと考えられます。
それだけでも100倍近い差がついてしまうことが考えられるのです。そこでこのような扱い金額に対する物流コストの比を取る場合には類似商品を扱っている他社と比較することが望ましいのです。
物流実力値を把握するために品質に関する指標を取ることは重要です。物流品質は物流の基礎の基礎ですから最初に把握しておかなければなりませんし、物流専業者であればお客様を安心させるためにも提示することが望ましい指標です。
誤出荷率は物流品質の結果を示す典型的な指標です。お客様へと流出させてしまった不良率と社内で発見された不良率の両方を把握することをお勧めします。
日本の製造業の流出不良率は一桁ppmです。つまり百万個出荷した内数個の不良が存在するという計算になります。日本の流通業ではこの10倍くらいの不良が出ていると考えられます。
これに対して社内で発見される不良は流出不良の数十倍から百倍くらいありそうです。そこでこの社内不良率を正しく把握し、不良流出を防止する心がけが必要になるのです。
あわせて不良を防止する「要因系」の指標も実力値を認識する上では重要です。たとえば「ポカ除け設置件数」、「品質勉強会実施件数」などをきっちりと把握してみてはいかがでしょうか。
次回に続きます。
■9月16日(水) IE協会で事例研修会を実施します!
『大人気講座「構内物流の果たすべき役割」の取組事例から学ぶ』
どのように物流改善を進められていますか?生産ラインの効率化を差し置き、物流部門の効率化を実施すると、生産ラインに大きな負担をかけてしまうことになります。
本当の目的を見失わず、正しい物流改善を進めることが、生産コストの低減と品質の大幅な向上に貢献するのです。
本事例研修会では、物流担当者が陥りやすい勘違いとその是正方策について、「構内物流の果たすべき役割」を3つに分類し、改善の取り組み方、進め方について、経験豊富な講師が実体験をもとに解説します。また、実際に改善の取り組みを行った企業事例を聴講し、現場を見学することによって、工場の生産効率と品質の大幅向上、さらには構内物流が生産統制を行うといった、一歩進んだ物流業務の確立が期待できます。
ぜひこの機会に、多くの方のご参加をお待ちしております。
お問い合わせ先【日本IE協会】
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物流改革で「収益力向上!」「品質力向上!」「人財力向上!」 Kein物流改善研究所
http://www.keinlogi.jp/