日本の物流品質は高いと考えられてきました。荷物が無くならない、指定日にきちんと届く、宅配という極めて高度な物流を民間企業が実施している、こういった評判が一般的ではないでしょうか。
筆者も海外で航空会社に預けた荷物が到着空港で出てこなかったという経験を何度もしています。しかし日本の国内線ではこういった経験はありません。
また引っ越しについても荷物が紛失したり損傷したりすることは稀です。たいていの人は日本の物流について大きな不満を抱くことは無いのではないでしょうか。
しかし最近冷凍、冷蔵の荷物をその温度管理帯ではない場所で規定時間を上回って保管を行っていることが明るみに出ました。しかも顧客からはお金を取っているにもかかわらず、です。まさに顧客に対する裏切り行為と言えるかもしれません。
これは「決められたことを守らない」ということに端を発しています。現場管理ができていなかった典型ではないかと思われます。
この現場管理ができていないということに対していろいろな言い訳が出てきます。荷捌きの工数が足りなかった、幹部は現場の実態を把握できていない等々。
この「言い訳」がもっともかどうかを判断するのは誰でしょうか。会社の幹部でしょうか。違いますね。判断するのはお客様です。お金を払ってくれたお客様に聞いてみるべきなのです。
「ウチはお客様から代金をいただきましたが、忙しくて人手が足りないので、そのお金に見合った品質とサービスを提供することができそうにありません。お許しいただけますでしょうか。」
これに対して「アイスクリームは溶けちゃうけど、忙しいなら仕方ないね」と言っていただけるのであればよいのですが、そんなことを言う人はいません。
言い訳は社内で通用してもお客様にいう話ではありません。お金をいただいて仕事をする以上、それはプロの仕事ですから、対外的には一切言い訳無用です。
ということで話を社内に切り替えましょう。今回のような状態が別に無いのかはチェックしてみることが必要です。
本来であれば「決められたことが守られているかどうか」は作業観察を行えばわかることです。いつもお話させていただいていることですが、標準作業が守られているのかを監督者がチェックする作業観察は重要な物流監督者の仕事です。
物流品質不良の原因を調べていくと、決まってこの「作業観察もれ」が明らかになります。ではなぜ作業観察という監督者業務を行わなかったのかについて要因追求することが必要になります。
次回に続きます。
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