すべての産業で人材不足が顕在化してきています。産業界での人の取り合いが進むとともに、人件費も上がり経営を圧迫しつつある状況です。
これは物流事業者でも物流事業者以外の産業で物流機能を持っているところでも同様です。人材を採用できない、社員の待遇が不十分だからという理由で値上げする会社もありますが、この点については疑問に思うところが大です。
日本では製造業は昔から着実に生産性を向上するための努力を重ねてきました。しかしながらサービス業を中心に生産性向上が大幅に遅れている事実があります。
物流はこのサービス業に含まれると考えられます。もちろん製造業の中の物流は製造現場の影響を受け、やや製造の生産性向上活動に近いことをやっているかもしれません。
いずれにしても物流について全体的に生産性を向上させていく必要性は大いにありそうです。
さて物流の値上げについてです。社内で打つべき手は打ったので、あとは顧客に負担してもらうしかない、という話が出てきます。これは本当でしょうか。
筆者は昔事業者の方から値上げ要請を受けると、よく現場を見せて考えてもらったことがあります。筆者は製造業にいましたので、生産現場は1歩を無くす改善に真剣に取り組んでいました。
モノの取り置きも50cmを10cmへ縮めるということを必死になって実行してきました。事業者の方はこれと同等以上の取組をしているかはなはだ疑問だったわけです。
つまりやるべきことをやってから顧客へ負担を要請するべきなのです。多分大多数の会社ではここまでの改善はできていないと思います。
それは改善を行う文化がない会社や、どのように取り組んでよいのかわからない会社では自らの効率化に苦心していることでしょう。
もう一つの視点として値上げや顧客の仕事を断る以外にやるべきことを考えてみたいと思います。つまり物流全体の効率化です。
では物流全体の効率化は誰が取り組むべきでしょうか。その主体は物流事業者であり荷主企業であるわけです。
サプライチェーン全体の構成を考えるのは荷主の業務です。自社のサプライチェーンのマネジメントを行うのも荷主側です。つまりどちらかというと物流全体の効率化のカギを握るのは荷主だと考えられます。
次回に続きます。
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