国交省は平成29年5月31日、トラックドライバーの荷待ち時間などの実態把握や解消に向けて、 荷待ち時間などの記録を義務付けた貨物自動車運送事業輸送安全規則の一部を改正する省令を交付しました。
ドライバーが車両総重量8トン以上または最大積載量5トン以上のトラックに乗務した場合、ドライバーごとに集貨または配達を行った地点(集貨地点等)、集貨地点等に到着した日時、集貨地点等における荷積みまたは荷下ろしの開始および終了の日時などを記録し、1年間保存しなければならないとされています。
物流会社にとってみると煩わしいことと思うでしょうか。いいえ、違います。これは物流会社に顧客と交渉するためのネタだと考えるべきでしょう。
つまり今まで顧客の構内で待機させられていたとしても、具体的なデータが無いために顧客にアピールすることができなかったのです。
これを解消するためにデータ取りを義務化したのです。ですから、単にデータを集めるだけではなく、それを活用しなければならないのです。
このトラックドライバーの待ち時間などの実態把握は、やはり働き方改革に通じるものです。ドライバーの長時間労働の大きな要因が待ち時間にあると考えられるからです。
物流会社の皆さんはぜひ取得したデータに基づき、顧客との交渉に臨んでいただきたいと思います。その交渉の目的は第一義的には待ち時間の解消、そして価格の改定です。
ここでも国から大きなバックアップをもらったと考えるべきでしょう。今まで顧客の構内で待機させられていても何も言うことができなかったかもしれませんが、そこを半ば強制的に話をしろといわれているようなものです。
つまり運送約款の変更にしろこのデータ取りの義務化にしろ、物流会社の弱い立場を考慮し、国が重い腰を上げたと考えるべきでしょう。
本来であれば物流業は規制対象業種ではありませんので、特に国が口をさしはさむ立場にはありません。あくまでも相対取引ですから、問題は当事者間で完結すべきです。
しかしここにきて人材不足でサプライチェーンにまで影響が出てきている環境下で、国が何も対策を打たないわけにはいかなくなってきたということです。
ですから、この「与えられたチャンス」を有効に活用し、ぜひ顧客と交渉を行い、是正すべきことは是正していくべきなのです。
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