物流リスクマネジメントの一つとしてコンプライアンスリスクが挙げられます。コンプライアンスリスクの多くは物流事業者が法令を犯してしまうことで発現します。
その一つは過積載です。トラック能力を上回る荷物を積載する重量オーバーは道路や橋梁に影響を与えます。
社会インフラを破壊する重量オーバーは許すわけにはいきません。警察も重点的に過積載を取り締まっていますが、これが一定のレベルを超えると業務停止処分につながります。
仮に荷主からもっと積むように言われても、直接的に罰則の適用を受けるのは物流事業者です。荷主側も荷主勧告制度による罰則がありますが、業務停止は物流事業者に科されるのです。
過積載と共に問題となるのが速度超過です。荷主の出荷が遅れたために急いでトラックを走らせることもあるのでしょう。
しかし同様に直接的な罰則は事業者が受けることになります。
トラックドライバーの労働時間超過も同様です。長時間労働は法令違反リスクだけではなく、ドライバーの過労による事故につながるリスクもあるのです。
こうなると事業者にとっては死活問題です。最近は大分少なくなったようですが、コンプライアンス倒産にもつながりかねません。
その他社会保険未加入などもコンプライアンス違反ですね。これも明らかに社会のルール違反です。社会保険などに入っているゆとりなどない、という経営者の方がいらっしゃいますが、そのような会社は残念ながら市場から退場していただくべきでしょう。
荷主会社はコンプライアンス違反の物流事業者とは取引をしないようによく調査をしています。もしそのような業者と取引をしていることがわかると、取引を止めることもありえます。
このような事例が重なると、事業が立ち行かなくなることも十分に考えられます。
いかがでしょうか。荷主から頼まれてつい法令を犯してしまった、交通渋滞で遅れた分をカバーするために速度超過をしてしまった、という経験をされた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今後はコンプライアンスは厳しくなる一方です。まず自社は法令違反を起こさないと明言する。そして荷主から言われても法令違反につながる仕事は断る勇気を持つようにしましょう。
荷主会社の方は荷主勧告制度により社名公表されることがあります。物流事業者の法令違反につながるような言動は慎みましょう。
■『3つの役割を果たす!構内物流改善の進め方』
カイゼンベース株式会社とKein物流改善研究所との協働制作講座が完成しました!
物流のE-learningは珍しいかもしれません。一部無料で見られますので皆さんもアクセスしてみて下さいね。
https://www.kaizen-base.com/contents/logi-42826/
■日刊工業新聞社 工場管理 2月号 好評連載中!
「工場全体を効率化できる 物流のトリセツ
『第17回 海外物流への取組み(上)』」
http://pub.nikkan.co.jp/magazine_series/detail/0007
物流改革で「収益力向上!」「品質力向上!」「人財力向上!」 Kein物流改善研究所
http://www.keinlogi.jp/