物流というと「コストだ」という人が圧倒的に多いようです。もちろん物流はコストだけというわけではありませんが、そのような認識を持たれても致し方のない部分はあります。
本来であればサプライチェーンをマネジメントしていく役割を物流には期待されているはずです。しかしその前に「余分なコストは削減しろ」と言われているのです。
では物流コスト改善の削減余地はどれくらいあるでしょうか。日本ロジスティクスシステム協会の調査では、一般的に日本企業の売上高に占める物流コストは4.7%くらいと言われています。
この水準をどうとらえるかですが、多くの会社で売上高に占める営業利益が5%に届かない現状を鑑みると、少なくとも4.7%は小さいとは言い切れないのではないでしょうか。
物流改善の重要性が提唱されて30年以上が経過していますが、実際に物流改善に真剣に取り組んでいる会社はそれほど多くないようです。削減余地は多分にあると考えるべきでしょう。
では今から物流コストをどのように下げていったらよいのでしょうか。
日本には運送事業者がおよそ6万3000社あります。これはトラック運送事業が自由化されて一気に増えた結果です。ユーザーの観点からは買い手市場のように思われます。
一方で、もうどなたも認識されていると思いますが、最近はトラックドライバーが不足気味です。ドライバーの高齢化も着実に進んできています。
トラックドライバーを含む運転職の有効求人倍率は2倍を超えています。要はトラックドライバーは魅力のない職業ととらえられているのです。
外国人労働者がトラック運転の仕事で解禁されれば別ですが、ユーザーにとっても運送事業者にとっても、ドライバー不足は深刻な問題であると言えそうです。
この環境下では物流コストの大きなポーションを占める「運賃」はなかなか下げづらくなってきたと言えそうです。
では物流コストは上がるのでしょうか。筆者は必ずしもそうならないと見ています。ユーザーがやるべき物流改善に取り組む限りにおいては。
物流コストは物流価格(運賃)だけで成り立っているわけではありません。物流業務を効率的に実行できない場合に発生するロスも物流コストの大きな部分を占めます。
そこでユーザーはこのロスの部分に注目し、物流コストを改善していく活動を進める必要があるのです。
次回に続きます。
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