製造会社では標準作業書が無ければその作業をしてはならないというルールをつくり、それを徹底している会社が多数あります。
もし標準作業書がないまま作業者に勝手に仕事をやらせて何か問題が起こった場合には責任をとれないからです。
これは会社の内部統制、つまりガバナンスの問題になるのです。欧米ではガバナンスを非常に重視しますが、日本ではそれほどでもありません。
それは国民性にもよるのではないかと思います。非常にまじめな民族である日本人は「常識」という漠とした理念の下、よもやこんなことはするまいといった暗黙の了解があるのです。
製品を放り投げるとか、傷つきやすい製品を床にじかに置くなどといったことは日本人ではまずやらないと思います。それは個々人の良識に任された結果ですが、仮にこういった行為をしたとしても、標準を定めて仕事を教えていないのであれば作業者を責められないのです。
つまり日本は性善説に立脚して作業を行わせているということになりますが、欧米を中心とした海外はその反対の性悪説に立脚しています。だからこそ標準化やマニュアル化を進めないと仕事自体が成立しないのです。
日本の中でも海外からの研修生を受け入れる形で外国人を作業に就かせていると思われます。こういったケースで徐々に標準化の必要性を感じている方もいらっしゃると思います。
もう「そんなことは常識だ」という言い方はできなくなりつつあるのです。製造業ではそんなことまで標準作業書に記入するのか、と思われるようなことまで記載していますが、これが正しい姿であると思います。
ピッキング作業であればこの部位を上にして置く、フォーク運搬作業では荷物をバックレストに密着させる、製品のラック投入時には製品番号を声を出して読み上げながら投入するなど、一見当たり前と感じられそうなことについてもしっかりと標準書に記載するのです。
標準作業書を作成する際にここで手を抜くとか、当たり前と思い込んで大切なことを記述しなかったために物流品質不良を発生させてしまっては元も子もありません。
次回に続きます。
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