私たちが取り組むべき範囲はサプライチェーン全体です。つまり物流管理というよりも、サプライチェーンマネジメントが私たちの領域なのです。
物流はある行為の結果として表れます。たとえば拠点と拠点を離して設計すると、その2つの拠点間に輸送というものが発生します。
建屋の中で工程と工程を離して設計することで、工程間運搬が発生します。それと同時に、よほど上手くオペレーションを行わない限り、工程間在庫が発生します。
ですから物流を何とかしたいのであれば、その発生源に対策を打つ必要があります。もちろん、物流という現象に対して個別改善を行うことは可能です。
たとえばトラックの待機時間を無くして回転率を上げたり、ドライバーの残業時間を減らしたりすることは一定の効果があります。
しかしもっと大きく物流効率化を図るためには、根源を正していくことが効果的です。ではその根源を正すために実施していくことは何でしょうか。
私たちは物流だけに目を向けてはいけません。物流タコつぼに入り込んでしまっては周りが見えなくなってしまうからです。
そこで最初に考えていくべきことは、物流の発生要因に目を向けることです。なぜその輸送が発生しているのか、なぜその保管が発生しているのか、疑問を持って要因を追求することです。
物流の発生は仕方のないこと、当たり前のことと思った瞬間に思考は停止します。理想は物流が発生しないことです。
ですから、もしその物流が無くなったらどうなるのか、という考え方で物流の周辺を見渡していくとよいと思います。
それによってその物流の必要性、つまり物流の発生源が見えてくるのです。そこが見えればしめたものです。
次に考えるべきことは、その物流を無くすこと、無くせないのであれば小さくすることです。この発想で物流を考えることが、大きな視点で物流を見ることと同義になるわけです。
さらに検討すべきことは、サプライチェーンマネジメントの学習です。サプライチェーンマネジメントとは元々は生産管理です。
物流に携わる人はよく勘違いをしており、生産管理は自分たちの領域ではないと発言します。しかしこれはとんでもない間違いです。
物流は生産の一部です。生産とは加工と運搬の繰り返しで成り立っています。ですからその一部である運搬については生産管理を知らないと改善できないはずなのです。
次回に続きます。
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