仕事のやり方を統一する(3) 「形」と機転

「御社ならではの仕事って何ですか?」このように聞かれて即答できますでしょうか。運送でも倉庫でもこれは、という統一した仕事をしていれば回答はできるでしょう。

しかし回答ができないとすると、もしかしたら仕事の「形」ができていないのかもしれません。柔道や舞踊でも同じですが「形」の重要性については物流も認識しなければなりません。

だからこそその会社の仕事のやり方はまず「形」として成立していなければなりません。庫内作業であれば標準作業という「形」があり、それに上乗せする形で何かしらの工夫が出てくるわけです。

震災の日にディズニーランドのスタッフの対応が素晴らしかったという有名な話があります。それは顧客にお土産として販売するぬいぐるみを渡し、それで頭を保護するように指示を出したという話です。これは会社からの指示ではなく、スタッフの機転でした。

ディズニーランドではこのようなスタッフの仕事の素晴らしさが話題になりますが、これもきちんとしたマニュアルがあり、それに上乗せする「スタッフの機転」があるからでしょう。

宅配担当者は物流業というより販売業であり、サービス業です。この立場にある人はディズニーランドのスタッフと同じであると考えられます。

つまり仕事の基本を守りながらさらにお客様が喜ぶような味付けをするということです。何も宅配担当者に限りません。

トラックドライバーも同様です。トラックドライバーは荷主というお客様と接するとともに、着荷主という荷主にとってのお客様とも接します。

ですから余計に機転が利くことが望まれます。ですからこのような点につきましては会社として指導していくことが必要です。

トラックドライバーは誰であっても荷主、着荷主のところへ行ったときには普遍的な対応ができることが重要です。

これが仕事を統一する「形」の部分です。そしてこれに上乗せする機転があってもよいでしょう。あそこの会社に運送を依頼すると非常に気持ちがいい、といわれるまでになりたいものですね。

いかがでしょうか。仕事の標準化が遅れている物流ではまずこれを推し進めることが求められます。そのうえでお客様の満足度を高めるためのプラスアルファを考えていくべきです。

繰り返しになりますが、作業員に仕事のしかたを任せることは慎むべきです。管理監督者はまず自分の責務として仕事を標準化して指示する必要があります。

社内で仕事のしかたやその結果の品質やコストにばらつきが出るようなことは絶対に避けるようにしていきましょう。


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